A SCENE OF MANUFACTURING VOL.7
A SCENE OF MANUFACTURING VOL.7
和歌山県の工場が所有する稀少な吊り編み機。
オルゲイユのバスクシャツやスウェットは1910年前後に製造されたこの貴重な編み機で編まれています。
今回は和歌山の吊り編み工場を探訪します。
ニットの一大産地として知られる和歌山県。
18世紀頃から綿織物の生産が始められ、紀州藩が足袋の生産を奨励したこともあり、縫製産業が盛んになります。
明治初期に「紀州ネル」と呼ばれる綿フランネルが開発され、ニット産業の基盤となりました。
1909年にスイスから輸入された編み機が導入されたことをきっかけに
ニット産業が開始されます。
以後現在に至るまでニット産業のトップランナーとして世界に名を馳せる一大産地となっています。
吊り編み機は100年以上も前の機械。
1時間に数メートルしか編み立てられず、1日に編める生地はわずかスウェット数着分。
しかも細かいメインテナンスと修理が必要不可欠な上、
それにも長年の経験が必要とされます。
和歌山の工場では、世界中のほとんどの編み機が
革新的な編み機に取って代わられているなかで、
あえてこの吊り編み機を現代に残し、生地を編み続けています。
吊り編み機は時間をかけてゆっくりと丁寧に生地を編んでいきます。
糸に余計な力をかけずに編み上げることができ、
編まれた生地の編み目にはゆとりが生まれ、
空気を一緒に編んだような柔らかさが生まれます。
生地は自重で機械の下部に溜まっていき、
余計な負荷がかかることがなく、
ふっくらとしたソフトな質感に仕上がります。
ソフトでいてコシがあり、洗うたびに体にフィットする。
そんな独特の風合いが吊り編み機の生地の特徴です。
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